「組織の壁」 夢のキャンパスライフのはずが・・・

 

大学で最初にぶつかったのは「組織の壁」です。

 

今までアルバイトや部活動、クラスなど、いくつもの組織に所属してきました。でも、組織を運営したことはありませんでした。

管理する人が別にいて、その人の言うことに従っていれば問題はなかった。

 

大学で組織を運営する側に立って初めて、組織がどういうものかを理解しました。

そして、僕は組織に向いてないなと心底感じました。

 

何が向いてないって、とにかく無駄が多い。

 

それ意味ある?ってこともルールだからと従わなければならない。意思に反する行動がこれほどストレスだとは思いもしませんでした。

 

例えば、出来レース会議。

期待に胸を膨らませた僕が、夢のキャンパスライフの舞台に選んだのは学園祭の実行委員でした。

イメージは生徒会です。お堅い団体。

 

賢い普通の大学生なら、ゆるーいサークルを選びます。気の向いたときだけ練習に顔を出して、めんどうなら適当にサボる。人生で唯一、ゆるく適当に生活しても許される、それが大学です。

それをあろうことか、僕はサボることが許されない、超お堅い団体に所属してしまった。

 

新歓で忘れさせたい特技No.1の人見知りが発動してしまい、まともな知り合いを作れなかったんですね。

新歓が終わるときに友達がいたのが、この実行委員だったというわけ。

 

深く考えていませんでした。失敗したとか、ましてや今後の人生に大きく影響を与えることになろうとは・・・

 

学園祭を運営するわけですから、いろいろと決めなければなりません。

 

100人以上が会議室に集まって、好き勝手に意見を出し合います。意見を並べて、最後は多数決で決めるのがいつものパターン。

 

新歓が終わる頃、その出来レース会議はありました。

その日は、学園祭の日程を決めるとかで、どでかい講義室に集められていました。

  • 2日間開催にするのか、それとも3日間頑張ってやるのか。
  • 片づけに1日使うのか、それとも最終日に片づけまで全て終わらしてしまうのか。
  • 週末はお客さんがたくさん来るけど、それを最終日にもってくるのか、初日にして翌日以降の集客につなげるのか。
  • etc…

 

日程を決めるだけなのに、いろいろ考えてるんだなと感心しました。

 

気になったのが、やたら上級生が発言を促してくること。

「何か意見あったら言いや」

「質問があれば聞いたらいいし」

「手をあげて何か一言でも発言しよう」

 

なんだか上級生の空気が話し合いっていう空気じゃない。

 

これって大事な会議なんじゃないの?

下級生の意見が通ってしまっていいの?

 

違和感こそ感じましたが、そういうものかと納得していました。

意見を出せといわれたものの、僕が手を挙げたのは、多数決のときだけでした。

 

無事日程も決まり、来年はもっと意見出せたらな、なんてのんきに考えてました。

 

しかし、そのチャンスは1年もたたずにやってきました。もうすぐで2回生になろうかという3月、新入生が入ってくる前に全く同じ会議が開かれたのです。

 

そのとき僕は理解しました。日程会議は出来レースだったと。僕達が入学してくる前にすでに結論は決まっていて、上級生の手のひらの上で転がされていただけなんだと。

裏切られた気がして、非常に腹が立ったのを覚えています。

 

日程を決めるのに、新しい意見はそう出ません。前回と似たような内容になりました。この前のレジュメを持参している人もいました。

本番であるのにも関わらず、緊張感がありませんでした。

 

後日、日程の発表がありました。

驚いたことに、会議で決まった日程とは違っていました。

 

学園祭を学校を借りてやる以上、学校の意見を無視することはできません。最終的に委員長たちが学校と話しあうから、希望が通らないかもとは聞いてました。

 

まあ、仕方ないかと思いました。

 

ところが、とある日、風のうわさでとんでもないことを耳にしました。

 

「日程は最初から学校側が決めている」

 

はあ?

入学早々やった会議はいいとして、3月の会議も全くの無意味だったと?

 

とんだ茶番です。

 

なぜ、無駄な会議をするのか、僕には理解ができませんでした。

身近な先輩に愚痴ったところ、考えることに意味があると、ふわっと濁されました。

 

そりゃ考えないよりは考えるほうがいいに決まってます。でも、日程よりも考えるべきことは山ほどあります。その時間を削ってまで、茶番をやる必要があるのか。

 

会議の中身は考えるけど、会議をやる意味は誰も考えてないんだと気付きました。

 

 

他にも、組織の理解できないことがありました。

 

「新歓中は新入生に交際がばれてはいけない」という謎ルールです。

茶番の次は謎ルールかとあきれました。

 

なぜ、こんなへんてこなルールができたかというと、新入生を少しでもたくさん入れて、人手を確保するためだそうです。

学園祭って準備とか大変なんですね。

 

  • 100店舗もの模擬店の設置場所をひとつずつ計測して、目印にテープを貼ったり
  • 外部から借りたテントがちゃんと使えるか、事前に全部組み立てて番号のシールを貼ったり
  • 学園祭の前後でモノがなくならないように、イスから黒板消しまで教室にある全てのモノの数をメモったり
  • 広い会場でお客さんが迷わないように50枚ぐらい案内看板を作ったり
  • etc…

 

平日は作業。土日は会議が詰まっています。

学園祭直前などは、企画のリハーサルがものすごい数あります。

 

前日なんか、すべての準備が終わるのは深夜3時をまわります。当日はさらに忙しく、ゆっくりとお昼ごはんを食べる時間などありません。分刻みでスケジュールが組まれます。少しでも人手がほしい。

 

学園祭が成功するかどうかは、新入生が何人入ってくれるかにかかっていると言っても過言ではありません。

 

だから、少しでもたくさん入ってもらうために、交際を隠すと。

 

いま自分で書いていても、理解できませんね。笑

気になる先輩がいるからといって、それでサークルを決めるとは思えないし。

入ってくれたとしてもウソが100%バレます。

 

なんなら、組織ぐるみでウソをついてたってことで信用をなくすかもしれない。

僕が新入生のときも気になる先輩がいて、アプローチしてたんですね。結果は残念だったんですが、周りの先輩も協力してくれて、いけるかもと思いました。その人は本当に彼氏はいなかったのですが、新歓が終わって実は彼氏いますなんて言われたらと思うと・・・

 

もう何も信用できません。学園祭どころじゃないですね。

 

そんなデメリットしかない謎ルールを守らないといけない。組織とはこんなにも窮屈なものかと思いました。

 

それで、ありがたいことに、当時僕にはお付き合いしている彼女がいました。

 

新入生と話すことと言えば、出身地、部活、学部、そして恋愛ぐらいしかありません。恋バナ好きの女の子と当たれば最悪です。

いくらルールとはいえ、堂々と彼女いないと言うことも嫌で、なんとか誤魔化していました。

わざと他のグループにお菓子を取りに行って、テーブルから少しでも遠ざかるようにしたり、となりの男子とだけしゃべって、なるべく女の子と絡まないようにしたり。

 

助けを求めて、同級生に視線を送ると、お前わかっているんだろうなという目をされる。

今にもバレるんじゃないかと、恋愛の話になるたびに冷や汗が吹き出ました。

怪しまれつつも、なんとか誤魔化し通すことはできましたが、本当に意味がわかりませんでした。

 

変なルールを守らされるのも嫌でしたが、もっと嫌だったことがあります。

それは事なかれ主義が身体に染みついていたことです。

 

そんな変なルールは廃止すればいいじゃないかと思うかもしれません。

仮にルール撤廃を提案したらこう言われていたでしょう。

「去年もうまくいったんだから、変える必要はない。

それで新入生が入ってこなかったらどうするつもり?

当日、人手が足りなかったら責任とれるの?」

 

ただの部員がそんなことを言われて、責任とりますなんて無責任なこと言えるはずもなく・・・

自分が我慢したらいっかと、訴えを取り下げていたでしょう。

 

それに、ルールを変えるとなったら、まためんどうな会議が増えてしまう。無駄をなくすために無意味な会議をしないといけない。

無駄の無限地獄です。

 

社会に出ても、こうやって上からの理不尽な要求を飲まされ続けるんだろうな、と思って震えました。

 

 

あと、嫌だなと思ったのは、失敗が一番早く広がることです。

大きな失敗であればあるほど、広がる速度は速く、その日はその話題で持ちきりになります。

 

同期の友達が作業で軽トラを使っていて事故ったことがありました。進入禁止の銀のポールに追突してへし曲げてしまった。

何やってんねんとみんなでバカにして笑っていました。僕も一緒になって笑いました。失敗をしたのが自分じゃなくてよかったと安心すらしました。

そんな自分が嫌でした。

 

大きな失敗をした者は無能のレッテルを貼られて、会議での説得力は半減し、余計な仕事を増やす奴と、同じ部局の仲間からも冷たい目で見られました。

 

自分が責められないがために、他人のあらを常に探している集団が異様に映りました。油断をしてはいけない。スキを見せれば一気に食われてしまう。

 

何かを成し遂げようとする以上のエネルギーを、失敗をしないための注意に注がないといけませんでした。

入学してからの1年半、学園祭をいいものにしようという空気を感じたことはありませんでした。

 

とにかく決められたことを、ミスなくやり遂げる。そのことばかり考えているようでした。

 

こう書くと、ものすごく嫌な人間が集まっているように感じます。

でも、それは違っていて、ひとりひとりは本当にいい人ばかりでした。そんな他人のあらを攻撃するような人はいませんでした。

 

それでも、集団になると、そういう空気になってしまう。

失敗におびえているがゆえに、他人の失敗に敏感に飛びついてしまう。

 

組織である以上、足の引っ張り合いは避けられないのだと理解しました。

 

  • 茶番出来レース会議
  • 謎ルール
  • 事なかれ主義
  • 足の引っ張り合い

 

会社も同じ組織です。

 

40年以上も耐える自信がありませんでした。

 

あらかじめ決められたことを、ただ失敗しないようにこなすだけの人生。

 

そんな人生の何が楽しいのか。

 

こうして僕は、就職に絶望したのでした。

 

大学生で経験した初めてのアルバイト。

ひげもじゃのおっさんに背後から肩を甘噛みされるという、思い出しただけで背筋の凍るような経験で僕のバイト人生は幕を開けました。

第2章 「お金の壁」 時給300円で働くと人間は10歳老けることを学んだ日

 

 


 

~プロフィール~

第0章 人生に挫折した日

第1章 「組織の壁」理想のキャンパスライフのはずが・・

第2章 「お金の壁」時給300円で働くと人間は10歳老けることを学んだ日

第3章 就職せずに好きなことをして自分らしく生きる

 

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